(2022年8月発行)

SOMPOのパーパス

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価値創造サイクル 原動力ルート

MYパーパスに突き動かされるカルチャーの醸成

SOMPOのパーパスは、「安心・安全・健康のテーマパーク」を通じて社会に価値を提供し続け、それによってあらゆる人が自分らしい人生を健康で豊かに楽しむことのできる社会を実現することです。

社会課題の解決により経済価値と社会価値を両立し、人々の幸せに資するサステナブルな成長を追求していくことがパーパス経営の本質であり、そのための原動力は当社グループの社員一人ひとりです。

SOMPOグループでは社員一人ひとりが自らの人生の目的である「MYパーパス」に突き動かされ、会社と個人のパーパスを重ね合わせ、内発的動機にもとづいてチャレンジを繰り返すことで「イノベーション」を創出する、そういった企業文化をパーパス経営の原動力としていきます。このパートではこのようなカルチャーの醸成に向けた取組みを、その起点となる社員のMYパーパスとともにご紹介します。

MYパーパスを尊重し、多様な価値観を認め合い、個々が力を発揮するSOMPOらしいI&D*を進めることで、多様な人材を惹きつけ、互いに受け入れ、I&Dの好循環を生み出す

MYパーパスと働き方改革により、MYパーパスを持った社員一人ひとりが、自分らしく働き、内発的動機にもとづくチャレンジをすることで、エンゲージメントが向上

エンゲージメントの高い社員がI&Dに溢れる環境でチャレンジを繰り返すカルチャーの醸成により、イノベーティブな新商品・サービスを生み出す力(組織力)が向上

* 社員一人ひとりが持つ多様なMYパーパスや特徴に対して、尊重し、認め合い、そしてそれぞれの能力を最大限に発揮し、イノベーションにつなげていくには、インクルージョンが重要であり、これを表現するために、本パートではダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を「I&D」と表記しています。

図:役職員数:73,676人 男性27,070人 女性46,606人(2022年3月31日時点)、事業別役職員数(2022年3月31日時点)国内損害保険35,068人 海外保険10,472人 国内生命保険2,716人 介護・シニア23,606人 デジタル・その他事業1,814人、MYパーパス研修受講率*1:66.0%(2023年度目標値100%)、従業員エンゲージメント:GallupQ12の平均得点*2 (国内)3.46pt (海外)4.02pt、健康経営に関連する生産性指標:(WLQ)*3(Work Limitations Questionnaire)93.8%、健康経営認定社数*4:22社 大規模14社 中小規模8社、女性役員比率:9.0%(2022年4月1日時点)、外国籍役員比率*5 14.7%(2022年7月1日時点)、サクセッション・プランにおける女性候補者比率*6:32.4%、女性管理職比率26.8%(2022年4月1日時点)、障がい者雇用率:2.41%(2022年4月1日時点)

*1 国内損害保険、国内生命保険、介護・シニア事業における受講率

*2 2023年度末の目標値は、国内3.70pt / 海外4.10pt に設定

*3 損保ジャパン、SOMPOひまわり生命を対象とする

*4 うちホワイト500(大規模法人部門)は11社

*5 当社の取締役、執行役、執行役員における比率(5/34名)

*6 グループCEOおよびグループCxO、事業オーナーをはじめとする主要キーポスト(計88)が対象

SOMPOのパーパス経営のアプローチ

SOMPOのパーパス実現に向けた原動力は、当社グループの社員一人ひとりです。当社グループでは仕事や働き方に関して「会社の中に自分の人生を置く」という考え方から「自分の人生の中に会社を置く」という価値観へのパラダイムシフトが起きている時代において、何よりもまず社員一人ひとりが自分の人生におけるパーパス(MYパーパス)に向き合うことが大切であると考えています。

それぞれの社員の内側から込みあがってくる強い想い・MYパーパスが起点であり、それらを会社や組織のパーパスと重ね合わせていくことによってSOMPOのパーパス実現を目指す、これがSOMPOのパーパス経営のアプローチです。

SOMPOが目指すカルチャー

当社グループでは、社員一人ひとりがMYパーパスに向き合いSOMPOのパーパスと重ね合わせることで、内発的動機にもとづくチャレンジによりイノベーションがグループのいたる所で創出されています。そして多様な人

材が互いのMYパーパスを尊重し合い、個々の力が存分に発揮される、そのようなカルチャーを目指します。

そして目指すカルチャーへの変革を以下4つのステップで進めるべく、さまざまな施策を打ち出しています。

  • ① Lead the Self…MYパーパスを作り社員一人ひとりが変わる

  • ② Lead the Partner…パートナーとのMYパーパスにもとづく対話を通じて、チャレンジ、その先のイノベーションを生み出す

  • ③ Lead the Team…「MYパーパスにもとづく対話を通じたチャレンジ・イノベーションの創出」を組織レベルで実践する

  • ④ Lead the Culture…組織での実践を持続可能なものとして回し続ける仕組みを作り、カルチャー変革を実現する

人的資本インパクトパスの可視化に向けた取組み

当社グループではMYパーパスを起点に取り組むカルチャー変革や働き方改革が、人的資本の増加を通じ、財務価値・企業価値の向上につながる道筋の可視化にも注力しています。

具体的には、「MYパーパス・働き方改革が個人と組織の力を高め、業務の質と量の向上を図り、チャレンジやイノベーションが増加することで、短期・中期の財務価値を創出する」という一連の道筋をインパクトパスと呼び、その詳細化や社内外のデータを活用した要素間の相関の検証、今後必要となるKPIの整理などに取り組んでいます。

またチャレンジやイノベーションの創出を加速させる仕組みとして、社員によるMYパーパスが起点となった価値創造の取組みを表彰する制度(SOMPOアワード)の導入についても検討を進めています。

図:アクション→アクションから財務につながるパス

起点となるMYパーパス

MYパーパスとは?

MYパーパスとは、自分自身はどのような人間なのか、自分にとっての幸せとは何か、自分自身が人生において成し遂げたいことは何か、といった「人生の目的」あるいは「働く意義」を指します。

当社グループではMYパーパスを考えるうえで、まずは自分自身の人生・キャリアを「WANT(内発的動機)」「MUST(社会的責務)」「CAN(保有能力)」の3つの観点で振り返り、それらが重なった部分を自らを突き動かすもの=「志」として、MYパーパスと呼んでいます。

図:内発的動機・社会的責務・保有能力。3つの輪が重なった部分が自らを突き動かすもの=「志」

MYパーパスの策定・尊重を支援する各種施策

グループCEOによるタウンホールミーティング

写真:トップが自ら語りかけグループ社員と対話

「会社や個人のパーパス/ミッションを考える」をテーマに、国内の全グループ会社の社員を対象に、櫻田グループCEO自らが社員約1万人に直接語りかけるタウンホールミーティングを開催(2021年9月~11月/全7回)しました。タウンホールミーティングでは櫻田グループCEOが自ら、「会社を利用して自分のパーパスを達成することが本質」、「一番大きいのは人生のパーパス。まずは自身のパーパス(MYパーパス)は何かを思い出してほしい」などと語りかけ、当社グループが社員の「MYパーパス」を中心に据えてSOMPOのパーパスの実現に向けてグループをあげて取り組むことを明確化しました。そして、参加後のアンケートでは、99%の社員がMYパーパスを持ちたいと回答するなど、共感を示しました。

タウンホールミーティング参加者向けアンケート
[アンケート結果(全7回累計)]
グラフ:ミーティングの内容に満足したか 満足95.3%
グラフ:会社がよくなると感じたか 感じる96.5%
グラフ:MYパーパスを理解し、持ちたいと思ったか はい99.0%
グラフ:MYパーパスを作り、実現に取り組みたいか はい97.6%
グラフ:SOMPOのパーパスを意識して働きたいか はい99.2%

グループ横断の研修の実施と現場起点でのムーブメント

写真:計20回、約4,000名が参加。

タウンホールミーティングに参加し、社員の心についた火をともし続けるために、グループ横断でMYパーパスの策定を支援する研修やワークショップ、MYパーパスの共有会などさまざまな施策を実施し、全20回、約4,000名(2022年7月末時点)が参加しました。この施策に参加した社員が起点となり、「パーパス推進委員会」の立ち上げや「MYパーパスの共有会」の開催など各社・各部署での自発的な取組みが広まり、当社グループ全体でMYパーパスを策定・尊重するムーブメントが広がっています。

エンゲージメント向上からイノベーションの創出へ

MYパーパスを持つ社員一人ひとりが自分らしさや幸福感、やりがいを実感できる環境下で内発的動機にもとづきチャレンジすることが、エンゲージメントの向上につながります。そのため、MYパーパスを中心に据えた「対話」を重視して、一人ひとりの内発的動機にもとづくチャレンジを引き出し、エンゲージメントを高め、イノベーションを生み出す力を組織的に向上させていきます。

パーパス・ドリブンな組織運営を目指すための各種施策

MYパーパス1on1研修

当社ではMYパーパスを中心に置いた対話により内発的動機にもとづくチャレンジを引き出すため、管理職以上を対象にグループ横断のMYパーパス1on1研修をこれまで約2,500人に対し、267回(2022年8月16日時点)実施しました。

2023年度末までに全対象者の100%の受講をKPIとして定めており、今年度中に86%が受講を完了する見込みです。

MYパーパス1on1は、MYパーパスを中心に据え、過去の体験を振り返りながら、MYパーパスの実現に向けた将来のありたい姿(MYビジョン)に向けて、チャレンジを引き出す上司と部下の「ヒト」の1on1です。

このダイアログフローにもとづいた対話を各部署で実践・習慣化することで、新たなチャレンジとイノベーションを生み出すカルチャーを醸成し、SOMPOのパーパス実現につなげていきます。

図:MYパーパス1on1研修、対話から内発的動機にもとづくチャレンジを引き出すダイアログフロー

国内リーダー層向けタウンホールミーティング

2022年度は、パーパス・ドリブンで働く社員一人ひとりを活かす新時代のマネジメントを実践するために、その要となる国内リーダー層3,600名に対して櫻田グループCEOと対話を行うタウンホールミーティングを実施しました。MYパーパスにもとづく対話を通じてチャレンジ・イノベ―ションの創出を持続可能なものとしていくために、リーダーのあるべき姿、どのような組織運営をすべきかについて議論を行いました。

櫻田グループCEOから参加者に対して「時には闘ってミッションと一人ひとりのMYパーパスを結びつけるのがリーダー」「パーパスマネジメントはタフであり、リーダーの腕の見せどころ」などの熱いメッセージを伝え、多くのリーダー層が日頃の迷いや悩みの解決にヒントを得ました。参加後のアンケートでは、99%の参加者がパーパスの重要性やパーパス・ドリブンな組織を率いるリーダーの役割を理解・認識できたと回答しました。

エンゲージメント・サーベイ

社員一人ひとりの「やりがい」や「幸福度」の向上が、高い生産性を実現する原動力になると考え、2021年度から従業員エンゲージメントをグループ共通のKPIとして設定しました。エンゲージメント・サーベイはGallup社が提供するQ12を採用し、国内外のグループ会社に対して年2回のサーベイを実施しています。直近のエンゲージメント・サーベイにおいては、約75%のグループ会社でスコアの上昇が見られました。当社が取り組んでいるパーパス浸透施策が「効果」として徐々に表れてきており、今後も各種施策の展開を継続・拡充していくことで、従業員エンゲージメントのさらなる向上を目指していきます。

Gallup社のエンゲージメント・サーベイ結果と目標値(5点満点)
グラフ:2023年度、国内3.70、海外4.10

I&D*からイノベーションの創出へ

当社グループでは、さまざまなバックグラウンドを持つ社員同士がMYパーパスを尊重し、多様な価値観を認め合うカルチャーの醸成に取り組んでいます。このようなカルチャーやMYパーパスを起点とした人材戦略により、社外からも多様な人材を惹きつけ、より一層I&Dを強化する好循環を生み出し、多様な価値観の結集とぶつかり合いを通じ、新たなイノベーションを創出しています。

*社員一人ひとりが持つ多様なMYパーパスや特徴に対して、尊重し、認め合い、そしてそれぞれの能力を最大限に発揮し、イノベーションにつなげていくには、インクルージョンが重要であり、これを表現するために、本パートではダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を「I&D」と表記しています。

MYパーパスによるI&D

MYパーパスの共有・共感

多様なMYパーパスをインクルージョンし、グループのイノベーションの力として活用していくことは、互いのMYパーパスを理解し、認め合うことから始まります。当社グループでは、MYパーパスに突き動かされ、SOMPOという舞台で自分の志を実現していく、多様な個性を持った当社グループの社員100名の未来伝記である「SOMPO伝」を社内外に発信しています。その他にも、動画やグループ横断のコミュニティ、各職場での共有会などを通じ、役員を含む社員が互いのMYパーパスを開示し、尊重する取組みを進めています。

画像:SOMPO伝

I&Dのさらなる促進とチャレンジ・イノベーションを引き出す仕組み

MYパーパスを起点としたキャリア形成を支援する人事制度の導入

当社グループでは、社員が「MYパーパス」にもとづいて、自らの人生・キャリアを選択し、成果を発揮できる人事制度の導入・拡大を進めています。 当社においては、本人の同意なき人事異動は実施せず、部長・課長への立候補制度を導入するなど、本人主導のジョブ選択を中心とする自律的キャリア形成を進めています。グループ各社においても、それぞれの事業特性をふまえ、会社主導の異動・転勤の見直しの議論・検討や、自己選択型のキャリア形成制度の拡充を進めています。例えば、SOMPOひまわり生命では、社員自身がMYパーパスとともに保持する知識・スキル、経験・経歴、実績を会社に開示し、その内容をもとにオファーがあった部署から異動先を選択する「ひまわりMYパーパスキャリア制度」を実施しています。

図:事故選択型のキャリア形成制度、SOMPOひまわり生命MYパーパスキャリア制度

キャリア採用

当社グループでは、I&Dの推進、高度専門人材の獲得を主な目的に、キャリア採用を積極的に推進しています。当社では2020年4月に採用を開始後、2年間で社員数の2割にあたる約100名のキャリア採用を実施しました。部長・課長・担当者のそれぞれのポストにキャリア採用者を配置し、既存の内部人材の一人ひとりが持つ強みと融合することで、新たな価値創造へとつなげています。

ジェンダーギャップの解消

当社グループでは、女性社員のライフイベントとキャリアップを両立するための研修プログラム、アンコンシャス・バイアスの診断ツールや研修動画の導入など、女性の働きやすさを支援する風土と環境を構築しています。これらの取組みの結果、2022年4月1日時点の女性管理職数・比率は1,843名、26.8%(2024年4月1日目標:30%)です。また、グループ主要キーポスト(計88ポスト)におけるサクセッション・プランでは、女性候補者比率を2022年度までに50%とする数値目標を設定し、取組みを進めています。