(2022年8月発行)

戦略・資本

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3つの基本戦略

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規模と分散

自然災害の激甚化や新型コロナウイルス感染症拡大などのニューノーマルや不確実性への備えとして、中期経営計画の基本戦略の1つである「規模と分散」の取組みを加速させ、レジリエントなポートフォリオ構築を図ります。

「規模と分散」は、強固な経営基盤を確立している国内損害保険、海外保険、国内生命保険の保険3事業を中心に取り組んでいきます。具体的な取組みとして、国内損害保険事業では、収益構造改革の完遂を通じ、収益性のさらなる向上とともに、キャッシュ創出能力を強化します。海外保険事業では、オーガニック成長、プライシング改善などによる高い利益成長とともに、規律あるM&A実行による成長を実現します。国内生命保険事業ではInsurhealth®による新たなお客さま層の開拓を通じた増収を実現します。中期経営計画初年度の2021年度に関しては、グループのレジリエンス獲得に向け、保険3事業ともに着実に成長を果たしました。

自然災害の激甚化、新型コロナウイルス感染症、ニューノーマル・不確実性への備え、レジリエンス獲得

*1 損保ジャパン(除く自賠責・家計地震) *2 2021~2023年度 *3 2023年度 *4 SOMPOインターナショナル コマーシャル事業 *5 営業成績ベース

保険3事業における2021年度の取組み成果

国内損害保険事業
正味収入保険料*1(億円)

*1 損保ジャパン(除く自賠責・家計地震)

海外保険事業
グロス保険料*2($ million)

*2 SOMPOインターナショナル コマーシャル事業

国内生命保険事業
保有契約件数(万件)
2

新たな顧客価値の創造

注力領域と進捗状況

「安心・安全・健康のテーマパーク」をより具体化するために、当社の強みを活かした5つの領域を通じてソリューション構築に向けたデジタルトランスフォーメーションに着手しています。そこから生み出されたソリューションが模倣困難かつユニークなものとなり、最終的にはエコシステム化していくことが当社が掲げているRDP戦略になります。この取組みを通じて、既存事業のバリューアップに注力することがソリューションの構築に寄与すると思われる領域(防災・減災、モビリティ、農業)と、先々のエコシステム化を当初から見据えてソリューション構築に努めるべき領域(ヘルシーエイジング、介護)について、当面の方向性を明示しました。

国内損害保険事業においては、DXの取組みを通じてアンダーライティングの仕組みの変革を進めています。データの統合を通じて情報の非対称性が解消され、営業社員の「総アンダーライター化」を目指したプラットフォームの開発が進んでおり、2021年度は特定の契約セグメントへの引受条件の変更が実現し、収支改善につながりました。このように既存事業のトランスフォーメーションを進めていくことで大きな生産性・収益向上を果たすことが高付加価値なサービス提供につながると思われる3領域(防災・減災、モビリティ、農業)について当面は既存事業のバリューアップに着目し取組みを進めていきます。

一方で、介護業界では高齢者増加に伴う需要増と少子化による労働力減少に起因する需給ギャップの拡大と社会保障費の増大という2つの大きな社会課題を抱えています。これらの課題を解決するには、介護業務の質を伴った生産性の向上が必要であり、SOMPOケアでは実証事業と、そこから培ったソリューションをもとにした外部の介護事業者との協業を開始しました。このようにエコシステム構築に対する社会ニーズが高い2領域(介護・ヘルスケア)については、RDPビジネスを具現化しプラットフォーマーへの変革に向けた取組みを進めています。

図:SOMPO DX×RDP 戦略 注力するRDP5領域(防災・減災、モビリティ、農業、ヘルシーエイジング、介護)。各事業の徹底的なDXによる差別化→プラットフォーマーへの変革
3

SOMPOの働き方改革

社員とSOMPOのパーパスを両立させる働き方改革

中期経営計画における基本戦略の1つとして、社員一人ひとりのやりがいや幸福度の向上、および圧倒的に高い生産性向上を実現するために「働き方改革」を進めています。働き方改革では、社員一人ひとりの「MYパーパス」の追求を土台と位置づけ、最終的なSOMPOのパーパスの実現を目指しています。そのために、当社グループでは、3つのコア・バリューである、「ミッション・ドリブン」「プロフェッショナリズム」「ダイバーシティ&インクルージョン」を共有する人材集団の実現を目指します。その実現に向けて、さまざまなグループ共通施策を展開するとともに、取組み状況を体系化・可視化するフレームワーク(人的資本インパクトパス)により、進捗の確認および改善につなげていきます。

図:MYパーパスの追求→3つのコア・バリューを共有する人材集団の実現(ミッション・ドリブン、プロフェッショナリズム、ダイバーシティ&インクルージョン)→働き方改革の目的達成→SOMPOのパーパス

3つのコア・バリューを共有する人材集団の実現に向けた主なグループ共通施策

「ミッション・ドリブン」の実現に向けた取組みでは、上司との定期的な対話を通じて、MYパーパスの中に仕事を落とし込み、自律的な働き方を目指した「MYパーパス1on1」や、社員がMYパーパスにもとづいて、自らのキャリアを選択できる「自己選択型のキャリア形成制度」を導入しています。これらの施策を通じて、社員一人ひとりが、MYパーパスとSOMPOのパーパスを重ね合わせ、日々の業務に取り組むことで、やりがいや生産性のさらなる向上を目指していきます。

「プロフェッショナリズム」の向上では、グループの経営をグローバルベースで牽引できる人材を育成すべく、各階層向けに選抜型研修を実施しています。若年層向けの選抜研修では、シンガポール国立大学ビジネススクールと提携した企業内大学「SOMPO Global University」を実施しています。また、損保ジャパンでは、オンラインでの学びの場として「損保ジャパン大学」を設立し、自律的な学びの場の提供を通じて、社員一人ひとりのチャレンジを支援しています。

さらに、デジタルの活用を前提としたビジネスモデルに適応していくために、全社員を3つの人材区分(DX企画人材、DX専門人材、DX活用人材)に分類し、それぞれに適した研修制度を設けることで、効果的なデジタル人材育成に取り組んでいます。

当社グループでは、「ダイバーシティ&インクルージョン」を経営戦略と位置づけ、「Diversity for Growth」というスローガンを掲げて推進しています。推進の目的の1つは「イノベーション」の創出です。SOMPOのパーパスを実現するためには、多様な人が集まって起こるグッドクラッシュを歓迎し、そこから新たな価値を見出していくイノベーションが必要です。各職場で働く社員一人ひとりがMYパーパスを共有し、互いを認め合うカルチャーを醸成していくことで、それぞれの才能や強みを活かし、大きなイノベーションへとつなげていきます。