(2022年8月発行)

SOMPOのパーパス

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未実現財務価値の向上に向けて
~人的資本のインパクトパスの可視化~

SOMPOの未実現財務価値の可視化に向けた取組み

当社では、中長期的に財務価値・企業価値につながる価値を「未実現財務価値」と呼び、グループ全体でその向上に取り組むとともにインパクトパスを描くことで可能な限り可視化していきます。

SOMPOのパーパスの実現に向けたパスを描いた「価値創造サイクル」を活用し、未実現財務価値の向上に向けた主要レバー/KPIを定め、これらの指標の一つ一つの向上を通じて、SOMPOのパーパス経営の進展をステークホルダーの皆さまに示していきます。

※財務諸表に表れない価値は、一般的に「非財務価値」と呼ばれていますが、これらは中長期的に財務価値・企業価値につながるものであることをふまえ、当社では「未実現財務価値」と呼んでいます。

図:価値創造サイクル MY パーパス:I&D、イノベーション力向上、エンゲージメント向上。SOMPOのパーパス:未来社会を変えるソリューションの提供、品質/お客さま評価の向上、社会インパクト拡大。
図:未実現財務価値の工場は、ブランド価値向上や顧客の行動変容などを通じて、エンゲージメント向上や顧客満足度に還元されていくことで、財務価値へのつながっていく。

インパクトパス

当社における人的資本への投資などの未実現財務価値の向上に向けた取組みが、財務価値ひいては企業価値につながるまでの道筋を可視化しました。

当社では、MYパーパスの追求および働き方改革がエンゲージメント向上・I&Dなどを通じて、組織力と個人力、つまり人的資本の向上につながると考えています。そして、それを強力なドライバーとして、チャレンジ・イノベーションを創出し、短期・中期・長期の未実現財務価値の向上を通じて、持続的に財務価値を高めながら、パーパスを実現していきます。

特に今回は、人的資本のインパクトパスの可視化に注力しました。このインパクトパスのストーリーにもとづき、各レバーについて順次KPIを設定し、進捗を測定し、示すとともに、それぞれのつながりについて、外部機関が公開する客観的なデータおよび当社グループ内のデータから検証し、パスの高度化に取り組んでいきます。

インパクトパスのつながり検証

人的資本

組織力UPルート
A「MYパーパスにもとづく対話」は「I&D」を加速
グラフ:私は上司や同僚のパーパスを尊重し多様な価値観を認め合いたいと思っている/私は上長との1on1ミーティングでMYパーパスについて話す機会がある 相関係数0.9

MYパーパスの策定と、それにもとづく対話や組織内での共有は、多様な価値観を認め合う文化、すなわちI&Dカルチャー醸成の鍵であり、土台です。

当社では、MYパーパス1on1をしっかりと行っている組織ほど、多様な価値観を認め合う傾向が強いことを確認しています。

B「I&D」は内発的動機にもとづく「チャレンジ」を加速
グラフ:私は自分自身のパーパスの実現に向けて、日々の業務で具体的な挑戦や取組みをしたいと思っている/私は上司や同僚のパーパスを尊重し多様な価値観を認め合いたいと思っている 相関係数0.85

I&Dカルチャーが醸成された組織では、異なる価値観を持つ一人ひとりが、その才能や強みを発揮しやすく、イノベーション創出に向けたチャレンジが増加すると考えています。

当社では、多様な価値観を認め合う組織ほど、パーパス実現に向けたチャレンジ意欲が高くなる傾向を確認しています。

個人力UPルート
C「MYパーパスにもとづく対話」は「エンゲージメント向上」を加速
グラフ:エンゲージメント・スコア平均/私は上長との1on1ミーティングでMYパーパスについて話す機会がある 相関係数0.72

MYパーパスを策定し、上司と部下がMYパーパスを中心においた対話(1on1)を行うことは、社員のMYパーパスにもとづく自律的な働き方を促し、エンゲージメント向上につながると考えています。

当社では、MYパーパスにもとづく対話(1on1)ができている組織ほど、エンゲージメントが高い傾向を確認しています。

※通常の1on1とエンゲージメントの相関は0.5程度

D「エンゲージメント」は内発的動機にもとづく「チャレンジ」を加速
グラフ:私は自分自身のパーパスの実現に向けて、日々の業務で具体的な挑戦や取組みをしたいと思っている/エンゲージメント・スコア平均 相関係数0.79

エンゲージメントの向上が、イノベーションの創出につながる、一人ひとりの内発的動機にもとづくチャレンジを増やすと考えています。

当社では、エンゲージメントの高い組織では社員一人ひとりがMYパーパスの実現に向けてチャレンジしようとする意識が高い傾向を確認しています。

※当社での分析は、SOMPOホールディングスの従業員を対象にしたエンゲージサーベイ調査にもとづき、SOMPOインスティチュート・プラスが実施したものです。今後同様の分析をグループ各社へ拡大し実施することを検討しています。

※相関係数の見方:一般的に、相関係数の絶対値が「1」に近いほど「正の相関係数」が強いと言われています。相関係数数の絶対値が「0.7~1.0」を示す場合には、強い相関関係があることが示唆されます。

未実現財務価値(中期・長期)

ESOMPOが生み出す社会インパクトと将来的な財務価値へのつながりの可視化にチャレンジ

インパクトパスの整理と金銭価値化により、事業規模を超えて生み出される社会インパクトを明らかにしていきます。以下に示す4つのパスが社会インパクトとして将来の財務価値につながるルートであり、これらのパスを通じて、社会インパクトが人的資本や事業活動に還元され、財務価値が生み出されると考えています。

介護事業の例
①ブランド価値の向上
②消費者の購買志向の変化
③従業員エンゲージメント向上
④実態に即したルールの形成

今後、SOMPOの生み出す社会インパクトの金銭価値化も実施し、開示することを予定しています。

※詳細は、2022年11月に開示予定

未実現財務価値(短期)

Fエンゲージメントの向上は、チャレンジ・イノベーションの増加を通じて品質や業績の向上につながる

エンゲージメントの高い組織では、労働生産性や品質の向上も期待できます。当社グループでは、損保ジャパンの営業店を対象にエンゲージメント関連スコア「eNPS」*と「予算目標達成率」との相関性の分析を行い、スコアの高い営業店は、翌年度以降の達成率が高い傾向があることを確認しました。

* 「eNPS」とは、損保ジャパンで実施しているエンゲージメント関連スコアであり、「家族・知人に当社への入社を進めるか」という問いにもとづく指標です。

グラフ:予算達成率 

損保ジャパン営業店(約550店)のエンゲージメント(eNPS)の上位25%と下位25%の翌年度以降の予算目標達成店の比率を比較・検証しました。

その結果、上位25%は、下位25%と比べて達成率が高いという、統計上の有意な差異を確認しました。

※この分析は、SOMPOインスティチュート・プラスが実施したものです。