(2022年8月発行)

ガバナンス

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取締役会の特長

取締役会の機能・役割について

取締役会は、法令または定款で定められた責務を履行するほか、取締役会規則に定める経営に関する重要項目を決定するとともに、業務執行の状況に対して、監督機能を発揮しています。取締役会の議長は、定款の定めに従い取締役会で選定することとしており、グループCEOを兼務する取締役がこれを務めています。

また、当社の取締役会は、監督の実効性が確保されるよう社外取締役が多数を占める構成とし、かつ十分な多様性が発揮されるようジェンダーや国際性などを考慮するとともに、会社経営者、学識者および法曹・財務・会計に関する専門的知見を有するメンバーを選任することで、高い透明性と公正性の向上を実現していくガバナンス体制を構築しています。

取締役会の実効性を確保・向上するための取組み

取締役会の実効性確保・向上について、取締役会議長をはじめ全取締役がその必要性を強く認識しており、以下の具体的取組みによって、一年を通じて絶えず議論が行われ、実行に移されるサイクルを確立しています。

① 取締役会の事前説明会の実施・活用

取締役会において建設的で充実した議論が行われるよう、開催の都度、社外取締役全員を対象に事前説明会を開催し、取締役会ではそこでの意見や質疑もふまえて議論を行うこととしています。このように事前説明会と取締役会を一体的に運営することで、効率的かつ充実した議論がなされ、社外取締役の見識や視点が取締役会に直接的に反映される仕組みとして確保されています。

② 取締役会の監督機能の発揮に向けた取組み

取締役会と執行部門の間に距離感を生ませず、十分な意思疎通が保たれるよう、取締役が執行状況を把握するための情報連携を強化するなど、監督機能の発揮に資する取組みも意欲的に行っています。

具体的には、取締役会において事業オーナーとグループ・チーフオフィサーが一堂に会して行う業務執行報告、執行部門の会議体であるGlobal Executive Committeeおよび経営執行協議会(Managerial Administrative Committee)への取締役のオブザーブ参加やその他会議体へのアクセス、取締役会付議事項に限定することなく執行のタイムリーな情報を社外取締役に報告する情報共有会の開催、事業オーナーの経営目線から見た執行情報に関するフリーディスカッションの開催、社外取締役と代表執行役の意見交換などが行われています。

③ 取締役会の実効性アンケートの実施

各取締役の自己評価を含むアンケートを年1回実施して取締役会全体の実効性についての分析・評価を総括する機会を設けるなど、取締役の意見を積極的に取り入れるための取組みも重視しています。

取締役会の監督機能発揮による好循環サイクル
図:取締役会→監督機能の発揮→執行部門(取締役会での議論内容をふまえた施策の検討と実行)→検討・実行結果報告
取締役会における重要テーマの審議状況
重要審議テーマ 議論内容
目に見えない資産
(ブランド、エンゲージメントなど) の評価および価値向上
  • 「働き方改革」の取組みによる社員の連帯感醸成の重要性や、エンゲージメント向上に資する人事制度のあり方、当社の目指す企業文化
  • これらの取組みの要素を企業価値向上にどのようにつなげるか
ESG関連課題への対応方針
  • 気候変動リスクなどへの対応方針についてグループ全体で整合させること、また明確に打ち出すことの重要性
資本市場との建設的なコミュニケーションのあり方
  • 重要経営戦略に関する資本市場との対話のあり方として、投資家への情報提供や効果的な伝え方
リアルデータプラットフォームの構築
  • リアルデータプラットフォーム構想におけるビジネスモデル構築や、リスク管理および顧客目線の重要性
  • デジタル事業におけるデータマーケティング強化のあり方

<執行情報の能動的な共有の仕組み:フリーディスカッションの活用>

2021年度は取締役と執行役の十分な意思疎通を図るため、情報共有会の開催頻度、内容をさらに充実させるとともに、事業オーナーの経営目線から見た執行情報に関するフリーディスカッションを複数回実施しました。取締役会付議の要否にかかわらず、また、決議に至る前段階から執行による報告、取締役会メンバーによる論議を重ねています。前年度の取締役会実効性評価において、新型コロナウイルス対応下における運営での問題意識として、取締役と執行、特に各事業オーナーとの間でのよりリアルな情報共有・コミュニケーションの充実も喫緊の課題とされたところ、事業ごとに執行役と取締役の集中的なフリーディスカッションを実施したことは、非常に有効であったとの評価がなされています。

また、取締役会において議論を深めていくべきとして掲げた重要テーマについては、いずれの観点についても多角的な議論がなされ、望ましい方向に大きく前進している、特にパーパス経営やエンゲージメントについては活発な議論と実践の報告がなされ議論が深まったとの意見があがっています。また、全般的に取締役会としての十分な課題認識のもと議論がなされており、執行側においてもそれをふまえた検討と実行がなされ、それに対して再度取締役会で議論がなされる好循環が生まれていると評価されています。

フリーディスカッションの開催実績
2021年度実施テーマ
  • 国内損害保険事業の戦略
  • 海外保険事業の戦略 ※2022年4月実施
  • 国内生命保険事業の戦略
  • 介護・シニア事業の戦略
  • デジタル事業の戦略
  • グループのサステナブルな成長に向けた取組み

グループの目指すべき姿の実現に向けた取締役会のさらなる進化

当社は、経営の監督と業務執行を分離することで、取締役会の監督機能の強化および執行部門への大幅な権限移譲による業務執行の迅速化を図り、また指名・監査・報酬の法定三委員会設置によって、高い透明性と公正性の向上を実現していくガバナンス体制を構築しています。

取締役会での重要な経営テーマについての集中的な審議、指名・監査・報酬の各法定委員会での、役員の選任や報酬決定、職務執行の適法性・妥当性の監督など、それぞれの機関が、その役割をより忠実に遂行しステークホルダーへの説明責任を果たすための議論が深められています。また、執行の最高意思決定機関であるGlobal Executive Committeeなどにおいては、経営戦略の根幹となる中期経営計画や安心・安全・健康のテーマパークの実現に向けて、積極的な審議がなされています。

これらについて、当社の取締役は、執行部門における意思決定機能や執行部門に対する監督機能・モニタリング機能も含めたガバナンス体制は、当社の経営戦略や事業戦略に合致した最適なものとなっており、取締役会の実効性を高める仕組みも十分に確保されていると総括しています。

当社は、グループが目指す姿の実現に向けて、これらのガバナンス体制を基礎として、重要な経営テーマについては取締役と執行部門とのフリーディスカッションなども有効に活用しながら、意思決定の質を高める取組みを重ね、株主をはじめとするステークホルダーの期待に応えていきます。

指名委員会について

写真:スコット・トレバー・デイヴィス

多様性に富んだ当社グループ役員ポートフォリオを構築し、SOMPOのパーパスの実現、企業価値の向上に貢献していきます

社外取締役 指名委員会委員長

スコット・トレバー・デイヴィス

指名委員会は、当社グループ各社の取締役、執行役および執行役員の選任または解任にかかる審議に社外の目を導入することによって、グループのガバナンスの透明性および公正性を向上させることを目的としています。

SOMPOのパーパス、すなわち「安心・安全・健康のテーマパーク」の実現に向けて、現在当社グループはトランスフォーメーション(質的進化)を推し進めています。これをさらに加速させるべく、2021年度において、当社グループの中核ポスト(グループCOO社長、国内損害保険事業オーナー、海外保険事業オーナー、介護・シニア事業オーナー)のサクセッション・プランを実行し、新たな候補者を選定、選任しました。2022年度からはこの新たな経営体制のもと、順調なスタートを切っています。

保険だけでなく、介護事業やデジタル事業など幅広い事業領域において、グローバルに事業展開する当社グループにおいて、SOMPOのパーパスを実現するために重要なことは、当社グループ役員ポートフォリオの多様性を向上させることです。指名委員会においては、個別の役員選任やサクセッション・プラン策定などにおいて、多様性を向上させる取組みを継続的に行っています。

指名委員会における議論を通じて、多様性に富んだ当社グループ役員ポートフォリオを構築し、SOMPOのパーパスの実現、企業価値の向上に貢献していきます。

指名委員会の活動実績

2021年度は合計11回の指名委員会を開催しました。2021年度の指名委員会の主な審議事項は以下のとおりです。

SOMPOグループ中核ポストのサクセッション・プランの実行
  • SOMPOグループの中核ポストである、グループCOO社長、国内損害保険事業オーナー、海外保険事業オーナー、介護・シニア事業オーナーについて、サクセッション・プランを実行するべく、新たな候補者を選定し、対外開示を行いました。
サクセッション・プランの策定
  • 当社グループのさらなる変革と成長を実現するため、それをリードすべきキーとなるポストについて、多様な背景を持った質の高い人材が、安定的かつ効果的に輩出される体制の構築を目的として策定しました。
  • グループCEOをはじめとするグループキーポスト計88ポストが対象です。
  • 後継候補者選定にあたり、女性比率などの検討基準を設けることにより、多様な人材プールを形成しています。
取締役候補者の選任
  • 取締役選任基準、および取締役会全体のポートフォリオのバランスを考慮し、定時株主総会に提案をする取締役候補者選任議案を決議しました。
執行役、執行役員の選任
  • SOMPOホールディングスの執行役、執行役員選任に関する取締役付議議案を決議しました。
損保ジャパン、SOMPOひまわり生命の取締役選任
  • 損保ジャパン、SOMPOひまわり生命の取締役会に勧告する、両社の取締役候補者選任議案を決議しました。

監査委員会について

写真:柳田 直樹

当社グループの事業の成長や急速な環境の変化に対応した実効性の高い監査を行い、 ステークホルダーの期待に応えていきます

社外取締役 監査委員会委員長

柳田 直樹

監査委員会は、社外監査委員を中心としたメンバーで構成された透明性・公正性が高い体制のもとで、各委員の多様なスキル・バックグラウンドを活かした役割分担を行い、実効性の高い監査を実施しています。

監査方法につきましては、2020年度以降はコロナ禍での対応としてWeb会議システムを積極活用するなど、「働き方改革」に資する運用を行い、監査側、被監査側双方にとって効率的となる対応を進め、質の高い監査につなげていきました。今後も形式にとらわれず一層効果的な監査の方法を追求していきます。

また、当社では2021年度より新たな中期経営計画をスタートしており「安心・安全・健康のテーマパーク」を具現化するために、リアルデータを活用したソリューションの提供に向けた取組みをはじめとする幅広い新たな取組みを強力に推進しています。そのため今後の監査範囲はより広くかつ専門性が高くなる傾向があることから、さらなる高い次元での監査を行うべく、2022年6月より幅広い知見や専門性を有する2名の新たな監査委員を迎え、7名体制で監査委員会を運営していきます。今後も最善の監査を行うことで、ステークホルダーの期待に応え続ける監査委員会を目指していきます。

監査委員会の活動実績

2021年度は合計12回の監査委員会を開催しました。

監査委員会は、監査基本方針・監査計画を策定し、監査計画にのっとって通年で監査活動を実施し、年度末に監査報告を行うとともに、監査活動の総括を行っています。実施した監査活動は、都度監査委員会で報告を行い、定期的に監査計画の進捗状況を確認しています。通年の監査活動では、重要会議への出席、重要な決裁事項の確認などに加え、代表執行役とのミーティング、事業オーナー・グループCxOとのミーティング、部室長とのミーティング、国内外グループ会社往査などを通じて情報収集を行い、経営に対して必要な意見・提言を行っています。

2021年度の通年の監査活動における取組み・対応は以下のとおりです。

監査委員の担当制
  • より掘り下げた監査を実施することを目的として、事業オーナー・グループCxOごとにメイン担当となる監査委員を定め、メイン担当を中心として監査を行う担当制を実施しました。
内部監査部との連携
  • 内部監査部との連携を強化すべく、監査委員による役職員とのミーティングや国内外グループ会社往査への内部監査部長の同席とともに、内部監査結果をふまえた監査委員とのディスカッションを実施するなど、広く意見交換の場を設けました。
会計監査人との連携
  • 会計監査人との連携を強化すべく、EY新日本有限責任監査法人と年間を通じたミーティング計画を策定し、コミュニケーションの頻度を高く保つとともに、活発な意見交換を行い、相互の監査品質の向上に努めました。
監査活動における工夫
  • コロナ禍対応および働き方改革を推進すべく、監査委員会の開催、各種ミーティングの実施、国内外グループ会社往査などの監査活動には、Web会議などのリモートによる方法を広く活用し効率性を高めるとともに、議論に充てる時間の確保に工夫を施しました。

報酬委員会について

写真:東 和浩

当社グループの役員報酬制度を、 より高いインセンティブ効果を発揮する制度とするべく、報酬委員会において検討していきます

社外取締役 報酬委員会委員長

東 和浩

報酬委員会は、当社グループ各社の取締役、執行役および執行役員の報酬にかかる審議に社外の目を導入することによってグループのガバナンスの透明性および公正性を向上させることを目的としています。

役員報酬制度は、ガバナンス効果を発揮しながら、同時に役員にとって真に効果のあるインセンティブとなるものであることが重要と考えています。この観点から、持株会社であるSOMPOホールディングスだけでなく、グループ全体とりわけ中核事業会社の役員報酬制度をよりミッション・ドリブンなものとするべく、2021年度に報酬委員会は、損保ジャパン、SOMPOひまわり生命に対して役員報酬制度改定の勧告を行いました。

また、当社グループの役員報酬制度における重要なテーマは、グループCEOの報酬パッケージをどのようなものとし、その評価をいかに適切に行うかということです。2021年度は報酬委員会において、グループCEOの戦略目標の決定、報酬総額、固定報酬と業績連動報酬などの報酬の構成の決定、取組みの評価などについて、時間をかけた丁寧な議論を行い、決定しました。

当社グループの役員報酬制度を、より高いインセンティブ効果を発揮する制度とするべく、報酬委員会において検討していきます。

報酬委員会の活動実績

2021年度は合計10回の報酬委員会を開催しました。2021年度の報酬委員会の主な審議事項は以下のとおりです。

損保ジャパン、SOMPOひまわり生命の役員報酬制度改定
  • 当社グループの中核事業会社(損保ジャパン、SOMPOインターナショナル、SOMPOひまわり生命、SOMPOケア)の役員報酬制度について、当社グループの役員報酬決定方針に照らして改善すべき点がないかという観点で議論を行いました。
  • 議論の結果、損保ジャパン、SOMPOひまわり生命の役員報酬制度をより当社グループの役員報酬決定方針に準じた制度とするよう、両社の取締役会に勧告を行い、2022年4月付にて勧告にもとづいた改定に至りました。
グループCEOの業績連動報酬
  • 2021年度のグループCEOの取組みを評価し、業績連動報酬の支給率、支給額を決定しました。
グループCEOの戦略目標と報酬基準額
  • グループCEOの2022年度の戦略目標(①RDPの構築、②エンゲージメント・I&D、③SOMPOの企業価値向上)を決議しました。

    ①RDPの構築 : 新たな顧客価値を創造し、社会課題解決に資する社会共通で有益な枠組みとして、リアルデータプラットフォーム(RDP)構築を実現する。

    ②エンゲージメント、I&D : 「イノベーションの創出」および「社員の幸福度、やりがいの向上」を目的とするI&Dを加速し、多様な人材が互いを受け入れ、それぞれのMYパーパスを尊重し合い、個々の力を十分に発揮できる組織・企業文化を実現する。これによりSOMPOグループの持続的な成長を促進し、企業価値の向上を実現する。

    ③SOMPOの企業価値向上 : SOMPOのパーパスやRDP、サステナビリティ経営の推進をグローバルに発信することによりブランド価値を高め、広くステークホルダーのレコグニションを高めることにより企業価値を向上させる。

  • 上記の戦略目標にもとづき2022年度の報酬基準額を決定しました。
HD執行役、執行役員の業績連動報酬
  • 2021年度のHD各執行役、執行役員の取組みを評価しました。
  • 業績連動報酬の支給率、支給額を決定しました。
HD執行役、執行役員の戦略目標と報酬基準額
  • HD各執行役、執行役員の2022年度の戦略目標を決議し、その戦略目標にもとづき2022年度の報酬基準額を決定しました。