原動力ルート(エンゲージメント)
エンゲージメントは、「個人の変化」、「関係性の変化」、「組織の変化」という3つの変化が相互に作用し高まっていきます。当社では、MYパーパスを出発点に、パーパス浸透や働き方改革等のさまざまなアクションを展開することで、このエンゲージメント向上につながる、個人・組織の内側で起こる3つの変化からなる「内なる変化」を引き起こそうと取り組んでいます。
MYパーパスに向き合うことで「個人の変化」を生み、MYパーパスを通じた対話や共有により「関係性を変化」させ、組織全体で行うことで「組織の変化」を引き起こす。そして、これらを相互に作用させ、3つの変化をスパイラルアップさせていくことで、エンゲージメントを高め、チャレンジやイノベーションという「表出する変化」につなげていきます。
本パートでは、この3つの変化を通じたエンゲージメント向上の取組みをご紹介します。
SOMPOグループの成長を支える原動力は、「社員一人ひとり」です。まずは、グループ社員一人ひとりが「MYパーパス」に向き合い、「個人の変化」を生み出していくことが、グループ全体の変革のスタートとなります。
社員一人ひとりが、MYパーパスの策定を通じ、自分自身と向き合い、自分の大切にしているものや、自分らしさ、幸福感、やりがいとは何かを明らかにし、それを実感しながら働くことが、エンゲージメントの向上、そして内発的動機にもとづくチャレンジやイノベーションの創出につながります。
ここでは、「個人の変化」を生み出すための施策の一部をご紹介いたします。
MYパーパスの策定は、簡単なことではありません。
しかし、MYパーパスは、すでに一人ひとりの中に存在しているものでもあります。当社グループでは、社員が、自分の中にあるMYパーパスを見つけ出し、それを言語化する支援を実施しています。
社員一人ひとりのMYパーパス策定を支援するために、「MYパーパス導入研修」を展開しています。研修は、いつでも、だれでもMYパーパス策定に取り組めるように、グループ横断で毎月定期開催し、これまでに25回、6.1千人が参加しています。
研修では、外部講師を招き、MYパーパスが必要となる背景や、MYパーパスを作成する手法を解説するとともに、すでにMYパーパスを作成した社員がパネリストとして登壇し、自身のMYパーパスや作成の体験談、その後の自身の変化などを伝えることで、研修参加者ができるだけ前向きな気持ちでMYパーパスの策定に取り組めるよう、工夫しています。
これらにより、まずは社員一人ひとりが、「自分自身はどのような人間なのか」「自分にとっての幸せは何か」を考え、自身のMYパーパスと向き合うことを支援しています。
職場では、MYパーパスをテーマとした対話のトレーニングを受けた職場の上司がメンバーのMYパーパス策定および深掘りの支援を行います。
上司とメンバーが、MYパーパスを中心に置いた対話を実施することで、各々が作成したMYパーパスの深掘りを行っていきます。
職場の上司が、メンバーに対し、これらを支援するために、当社グループでは、国内の全マネジメント層を対象にグループ横断の「MYパーパス1on1研修」を展開しています。
本研修は、2023年度末までに全対象者の受講をKPIとして定めており、今年度中に完了する見込みです。研修は、複数のプログラムに分かれており、マネジメント層自身のMYパーパスの作成からメンバーとのMYパーパスにもとづく対話の手法までを総合的に学ぶプログラムとなっています。また、複数のプログラムの間には必ず職場での実践期間を設け、インプットとアウトプットを繰り返すことで、マネジメント層のスキルを定着させるとともに、社員一人ひとりのMYパーパスにもとづくセルフ・ドリブンな働き方の定着を目指しています。
MYパーパスの作成を支援する研修や、職場の上司との対話により、MYパーパスを作成し、深掘りした社員からは、次のような声が生まれています。このようにMYパーパスと向き合うことは、社員一人ひとりの気持ちや行動に変化をもたらします。
気がつくと夢中になって作成していました。
ありたい姿を言語化できて今後のキャリアや次のアクションを考えるきっかけになりました。
損害保険ジャパン株式会社
営業企画部 業務システム推進室
関水 祐子
過去の自分の一つひとつの行動を振り返ってみるとすべてがつながっていることに気が付きました。
自分の大事にしているものが見つかって良かったです。
SOMPOひまわり生命株式会社
九州統括部 北九州支社
飯田 健太
MYパーパスを言語化し、SOMPOのパーパスとの重なりを認識することは日々の業務に対する意欲を高める土台となります。
当社では、MYパーパスを言語化し、MYパーパスとSOMPOのパーパスとの重なりを認識している組織ほど、エンゲージメントが高い傾向を確認しています。
※当社での分析は、SOMPOグループの従業員を対象にしたエンゲージメント・サーベイ結果にもとづき、SOMPOインスティチュート・プラスが実施したものです。
MYパーパスに向き合った「個人」が、上司や職場のメンバーにMYパーパスを開示し、MYパーパスにもとづく対話を行うことで、「関係性」に変化が生じます。また、上司や職場のメンバーとMYパーパスについて対話をすることが、個人のMYパーパスに対しても、新たな気付きを生むこともあります。
このように、「個人の変化」と「関係性の変化」は相互に作用する関係であり、双方の変化を加速させることで、新たな価値を生み出します。ここでは「関係性の変化」を生み出すための2つの取組みについて、ご紹介いたします。
MYパーパスを策定したあとは職場のマネジメント層とメンバーの間でMYパーパスを中心に置いた対話を実施します。MYパーパス1on1とは、従来の仕事の内容を中心とした1on1ではなく、MYパーパスを中心に据え、過去の体験を振り返りながら、MYパーパスの実現に向けた将来ありたい姿(MYビジョン)へのチャレンジを引き出す上司とメンバーの「ヒト」の1on1です。実際にMYパーパス1on1を実践した職場のマネジメント層や職場のメンバーからは、次のような声が多く聞かれ、従来の1on1では見られなかった上司とメンバーの「関係性」に変化が生まれています。
メンバーからの声
上司にMYパーパスを開示することで、心理的安全性が生まれ、普段の仕事のなかでも会話しやすくなりました。
MYパーパスにもとづいて仕事を割り振っていただき、自分を見てくれていると感じました。
マネジメントからの声
互い(上司とメンバー同士)の原体験やMYパーパスを開示したことで、心の距離が縮まり、以前より相談をしてくれる回数が増えました。
メンバーのMYパーパスにもとづき担当を割り振ったが、こちらからあまり助言することなく、積極的に仕事を進めてくれています。
職場の上司とメンバーの間でのMYパーパスにもとづいた対話に加え、同じ職場に所属するメンバーにMYパーパスを共有することは、互いの関係性に良い影響を与えます。
こういった職場のメンバーとの関係性に変化を生むための効果的な取組みが、各職場内で行われている「MYパーパスの開示」や「MYパーパス共有会」です。
職場内でMYパーパスを開示したり、MYパーパス共有会で互いの原体験や、原体験にもとづいて作成したMYパーパスについて対話をすることで、職場のメンバー間の相互理解につながり、お互いの価値観を尊重する文化を醸成します。また自身が語るだけでなく、職場のメンバーからフィードバックをもらうことで、新たな気づきが生まれ、MYパーパスをさらに深掘りすることにもつながります。
グループの各職場では、さまざまな工夫を凝らしてMYパーパスを開示したり、共有会を実施する動きが広がっており、このようにMYパーパスの共有や他者との対話を通じ、仲間との「関係性」に変化が生まれ始めています。
MYパーパス共有会の中で自分のパーパスをメンバーに話すことで、深掘りの余地がある部分が明確になりました。
MYパーパス共有会を実施したことで、メンバー同士の日常の会話が増えました。エンゲージメントにも良い結果が出てきました。
MYパーパスにもとづいて上司と対話し、お互いの価値観を認め合うことは、多様性を高めエンゲージメントの向上に寄与すると考えています。
当社では、MYパーパスにもとづく対話を実施し、お互いの価値観を認めている組織ほど、エンゲージメントが高い傾向を確認しています。
※当社での分析は、SOMPOグループの従業員を対象にしたエンゲージメント・サーベイ結果にもとづき、SOMPOインスティチュート・プラスが実施したものです。
個々のMYパーパスにもとづき、多様な価値観を認め合う組織では、エンゲージメントが高まり、チャレンジ意欲の創出やコミュニケーションの増加により、イノベーションが生み出しやすくなります。
このような企業文化を根付かせ、組織レベルで実践するための要は、組織の「マネジメント層」です。マネジメント層を変革し、「組織の変化」を起こすべく、当社グループでは、さまざまな施策を展開しています。
施策の1つとして、パーパスマネジメント先行現場への実態調査を実施し、MYパーパスを起点とした組織変革のメカニズムの解明に取り組むとともに、それを実践するパーパスマネジメントの「型」にもとづき「マネジメント向けのワークショップ」を設計・展開しています。
組織の変革フェーズに即した、3種類のワークショップを合計11回実施し、1.7千人が参加しました。
ワークショップでは、参加者同士のブレイクアウトセッションの時間を設けることで、現場の声や現場で起きていること(暗黙知)を収集し、その情報をパーパスマネジメントの型(形式知)に反映しています。このようなサイクルを回し続けることで、現場のマネジメント層とともに、マネジメント変革を進めています。
パーパスマネジメントの実践に際して、現場のマネジメント層は、さまざまな悩みや課題を抱えているのが実情です。だからこそ、当社グループでは、このように現場のマネジメント層とともに新しいSOMPOのパーパスマネジメントの型を作り上げ、それを実践していくことを目指しています。SOMPOグループの挑戦は、まだ始まったばかりです。
エンゲージメント
さまざまな困難や課題はあるものの、エンゲージメント・サーベイの結果は、グループ全体で上昇傾向となっており、このような取組みの成果が現れてきています。また、エンゲージメントを高めることが、チャレンジ意欲の増加につながり得ることは、データでも明らかになっており、当社では、エンゲージメント・スコアが高い組織ほど、チャレンジ意欲が高い傾向にあることを確認しています。
今後も変化のメカニズムに応じた各種施策の展開を継続・拡充していくことで、エンゲージメントの向上を目指し、チャレンジの総量を増やしていくことで、当社グループが目指す企業文化の醸成に向けて進んでいきます。
※当社での分析は、SOMPOグループの従業員を対象にしたエンゲージメント・サーベイ結果にもとづき、SOMPOインスティチュート・プラスが実施したものです。