(2023年8月発行)
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戦略

戦略の遂行状況

データなどを起点に「つなぐ・つながる」

①リアルデータプラットフォーム(RDP)

中期経営計画において掲げたRDP構想が介護・シニア事業において具現化したのが『egaku』です。これまで介護事業で進めてきたデジタル化によって把握が可能となった介護のリアルデータに、パランティアの解析技術とパートナーであるNDソフトウェアのネットワークをかけ合わせ、2023年度から事業化します。これによって日本の介護の課題である需給ギャップの解消に挑みます。

『egaku』誕生の背景・社会課題

日本では、高齢化に伴う要介護者の増加、社会保障費の増加、生産年齢人口の減少などの社会全体の課題に加えて、8割が小規模事業者で占める介護事業者においても、従業員の低処遇、厳しい職場環境、平均収支率の低下などを要因とした倒産・休廃業が増加しており、2040年には介護を担う人材との需給ギャップが69万人にのぼると見込まれています。

介護・シニア事業では、介護需要の拡大と介護人材の供給のギャップを解決し、介護保険制度の持続可能性を向上させることにチャレンジしています。その取組みの大きな柱が「安心・安全・健康のリアルデータプラットフォーム(介護RDP)」である『egaku』です。業界大手のSOMPOケアが持つご利用者さまのビッグデータ(リアルデータ)およびサービスやノウハウなどのオペレーション力、パランティアのデータ統合技術、産業技術総合研究所(以下「産総研」)の研究開発ポテンシャルを軸に、品質を伴った生産性の向上に資するソリューションを創出します。さらに、NDソフトウェアのプロダクト・チャネル・顧客基盤を活かして、ソリューションを展開していくことで、業界全体の持続可能性向上への貢献を目指していきます。

社会全体の課題、介護事業者の課題、介護人材の需給ギャップ→『egaku』の展開後、生産性向上により介護人材の必要数を削減、エンゲージメント向上により年率1.4%で介護人材が増加。
『egaku』が目指すこと

『egaku』は、介護業界全体のデファクトスタンダードとなることを目指し、生産性向上による介護人材の必要数削減およびエンゲージメント向上(介護職員の働きがいを醸成)による介護人材増加を通じた介護産業の持続可能性向上および介護離職の減少など国民生活への影響極小化を目標とします。

2030年に向けて、創出する経済価値目標として、導入顧客経済効果1,000億円、売上高300億円、営業利益100億円を掲げています。2040年には、介護人材の需給ギャップ約22万人の解消による約3.7兆円の社会インパクトの創出をターゲットに掲げ、これらの取組みを通して、SOMPOグループの企業価値向上を目指していきます。

egakuにより価値実現→企業価値の向上
『egaku』のサービス内容

『egaku』は介護事業者のニーズに合わせて、デジタル化支援サービス、データ活用サービス、プロフェッショナルサービスの3種類のサービスを提供します。

デジタル化支援サービスでは、NDソフトウェアとのシナジー効果を活かして、介護事業者へのデジタル化によるデータ取得および業務システム導入支援を実施し、データ活用サービスへ連携します。

データ活用サービスでは、パランティアと開発した生産性・品質を向上させるアプリを提供し、データ活用によるケアの可視化、データ分析による援助最適化を通じたオペレーション効率化による時間創出により、ケアの質向上をサポートします。

プロフェッショナルサービスでは、データ活用によって見える化された介護事業者の業務上の課題を解決するマネジメント手法のコンサルティングや専門職による支援を実施することで、データ活用サービスの提供価値であるケアマネジメントのPDCAを強力にサポートします。

1.デジタル化支援サービス、2.データ活用サービス(ソフトウェア)、3.プロフェッショナルサービス
ロードマップ

『egaku』では、2023~2024年度の2年間を事業立ち上げ期として、社内・社外それぞれで利用実績を積み重ねながら、介護業界でのデータ活用による持続可能な介護の実現に取り組む仲間を増やしていきます。2023年度100事業所、2024年度には累計300事業所に提供することを目指します。

中期的には、自治体と連携した在宅介護モデルの構築や海外展開を実現し、SOMPOケアで2030年度売上高300億円・営業利益100億円を目指します。長期的には、産総研との共同研究による介護品質の標準化に取り組み、『egaku』を通じてSOMPOのノウハウを介護事業者に提供し、介護業界全体のデファクトスタンダードとなる仕組みの構築を目指します。

事業立ち上げ期(2023~2024年度):アーリーアダプターと徹底したサービスの磨き込み、自社でのさらなる実証と実績の積み重ね、さまざまな介護サービスプロバイダーとの連携・協業、SOMPOグループのネットワーク活用

②Insurhealth®を通じた新たな価値の提供

Insurhealth®という新しい顧客価値

生命保険は元来、社会保障制度の補完的役割を担ってきましたが、少子高齢化・人口動態の変化によって、その役割は大きく変わろうとしています。例えば、日本政府は「未来投資戦略2018」において「健康寿命の延伸」を掲げており、国民一人ひとりの健康づくりや疾病などの予防をサポートするため、官民一体となった取組みが進められています。

SOMPOひまわり生命は、 人生100年時代において、生命保険の伝統的な役割である「万が一」の備えに加えて、お客さま一人ひとりの「毎日」の健康にも寄り添って応援していくことが大切であると考え、人々の願いである「元気で長く生きられる」を実現するため、「健康応援企業」への変革を進めています。その実現のために、保険本来の機能(Insurance)と健康応援機能(Healthcare)を組み合わせた「Insurhealth®(インシュアヘルス)」を新たな価値として提供していきます。

図:私たちは生命保険の役割を変えます、なぜなら社会保障制度の役割も変わっていく必要があるからです。→人々の願い「元気で長く生きられる」を実現する、保険が人を健康にするインシュアヘルスの時代へ。
成果

Insurhealth®商品の販売実績

新契約年換算保険料*1は、2018年度に投入したInsurhealth®商品をドライバーに着実な成長を続けており、2022年度の販売実績の74%を占めています。なお、2023年6月末までのInsurhealth®商品の累計販売実績は920億円、130万件にまで拡大しました。

*1 営業成績ベース

新契約年換算保険料
(億円)2023年度予想、Insurhealth356、Insurhealth以外との計460

お客さまの健康への貢献

「健康☆チャレンジ!制度」*2は2020年5月の開始後3年間で、チャレンジに成功されたお客さまが累計1万人を突破しました。当制度の対象のお客さまのデータを分析したところ、成功者の入院率は未成功者の入院率と比較して約50%低いとの結果が出るなど、禁煙や健康状態(BMI、血圧など)の改善以外にも、将来の健康リスクも未然に防いでいる可能性が示唆されています。

*2 加入後にお客さまの健康状態(血圧やBMI、喫煙状況)が改善された場合、保険料が割安になるとともに、契約日にさかのぼった保険料差額相当額を健康チャレンジ祝金としてお受け取りいただける制度

「健康☆チャレンジ!制度」成功者・未成功者の入院率
成功者の入院率が低い結果に
未成功者に比べて成功者は約-50%。
具体的取組み

Insurhealth®商品ラインナップの拡充と健康応援CX

Insurhealth®商品は、これまでに全10商品を発売しました。Insurhealth®商品第一弾として2018年4月に発売した収入保障保険『じぶんと家族のお守り』では、お客さまの健康状態改善を応援するプログラム「健康☆チャレンジ!制度」を業界で初めて導入しました*3

2021年10月に発売したがん保険『健康をサポートするがん保険 勇気のお守り』は、禁煙による保険料割引や生活習慣維持・改善アプリ利用推進による“予防”、がんリスク検査サービス提供による“早期発見”、社会保障制度や最新のがん治療の実態に対応した合理的な“保障”、がん患者さま向けサービス提供による“治療後のケア”により、がんをトータルにサポートする「新しいがん保険のカタチ」を実現しました。

また、2023年5月に発売した『健康をサポートする変額保険 将来のお守り』では、加入時の喫煙状況や健康状態に応じて健康積立金が加算される「健康ステージ制度」および、加入後の禁煙成功や健康状態の改善によって健康積立金がさらに加算される新たなチャレンジ制度を、業界で初めて導入しました*4

以上のInsurhealth®商品の提供に加え、その価値を通じてお客さまがより健康を体感いただくためのコミュニケーション活動(健康応援CX)にも取り組んでいます。例えば、「健康☆チャレンジ!制度」では、加入した後もお客さまに対し、あらゆる手段で継続的に働きかけを行い、チャレンジを後押しすることで健康応援を実現します。そして、チャレンジ成功後も健康を維持していただくためのサポートを実施しています。

*3 2018年3月29日時点 SOMPOひまわり生命調べ

*4 2023年2月20日時点 SOMPOひまわり生命調べ

今後の方針

「健康☆チャレンジ!制度」に成功したお客さまのデータ分析より、生活環境に変化のあったお客さまは、そうではないお客さまに比べ、チャレンジの成功率が高いことがわかってきました。つまり、生活環境の変化は、健康への意識が高まり行動変容が起きやすいタイミングの1つであると言えます。今後、お客さまに関するデータの整備および活用により、お客さま一人ひとりの健康意識が高まる最適なタイミングでコミュニケーションを図っていきます。例えば、お客さまとのコミュニケーションに生成AIの1つであるChatGPTを活用するといった検証を開始しています。このような取組みを通じて、お客さまとのコミュニケーションの精度を向上させることで、将来的にはお客さまの健康行動のさらなる支援につなげていくことを目指します。

さらに、デジタルによるお客さまとの接点の窓口である、マイリンククロス(Webサービス)を通じて、お客さまは、スマホやパソコンなどから手軽に保険手続きやヘルスケアサービスを利用することができます。マイリンククロスをすべてのお客さまに利用いただくためのマイルストーンとして、2023年度は登録者数100万人を目指します。そして、「保険と健康をつなぐゲートウェイ」としてさらに進化させるべく、保険と健康それぞれの機能の連携を強化する仕組みを構築していきます。

図:Insurhealth®実績、データ利活用→行動実績、健康改善実績
事業オーナーメッセージ

国内生命保険事業オーナー
大場 康弘

SOMPOひまわり生命は、健康応援企業として、従来にない新たな価値「Insurhealth®」をお客さまに提供しています。Insurhealth®商品の販売実績は好調であり、「健康☆チャレンジ!制度」に成功されたお客さまからもたくさんのお喜びの声をいただくなど、Insurhealth®が着実に浸透し、お客さまの健康応援を実現していると感じています。

また、J.D.パワー社が実施している「2023年生命保険契約満足度調査」において、保険代理店部門の総合満足度ランキングで第1位を獲得しました。「顧客対応」「支払保険料」「商品提供」の3ファクターで最高評価を獲得できたことは、Insurhealth®に取り組んできたことへの評価の表れでもあると考えています。

SOMPOひまわり生命は、これからもInsurhealth®商品を提供し、健康応援CXを活用したお客さまの健康行動へのさらなる支援を実施することで、健康応援企業として一人でも多くのお客さまがより長く健康でいられる豊かな人生のお手伝いを、全役職員一丸となって取り組んでまいります。