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(2024年8月発行)

グローバルに展開するデジタル拠点のネットワークと多彩なデジタル人材が有するケイパビリティを活用し、AI/LLM(大規模言語モデル)といった今後も飛躍的な拡大が想定されるデジタル技術を取り入れながら、革新的で独自性のあるソリューションを創出していきます。既存事業の業務効率化や品質の向上、お客さまへの新たな顧客体験価値を創出する新しい商品・サービスを展開することで、自ら変革し、持続的に成長し続けます。

前中計までのアチーブメント

当社は2016年からデジタル戦略をスタートし、事業の効率化やデジタル技術を活用した新たなお客さま接点の構築を進めてきました。

前中期経営計画期間では、実証を中心とした取組みからオペレーションの業務効率化を実現してきました(デジタイゼーション/デジタライゼーション)。

そして実業での成果(DX効果)を追求し、例えば国内損害保険事業で実際の収支改善効果に大きく貢献しています(デジタル・トランスフォーメーション)。

また、新たな事業領域の拡大にも取組み、オートオークションへの参入(SOMPOオークス株式会社の設立)や、米国Palantir Technologies Inc.とのJV設立(Palantir Technologies Japan株式会社(Palantir))等が実現し、成長を続けています(デジタル・イノベーション)。

今後も、SOMPOが有する事業基盤と新たな技術の活用、パートナーとの連携等を通じてグループの変革を主導し、企業価値向上に向けた挑戦を続けていきます。

図:デジタルイノベーション/デジタル事業
																														デジタルトランスフォーメーション/実業での効果
																														デジタイゼーション、デジタライゼーション/業務効率化

新中計におけるデータ・デジタル戦略の全体像

2024年度から開始した中期経営計画においても引き続きデータ・デジタル戦略の進化を続けていきます。

既存事業においては、顧客や特定のセグメントといったさまざまな切り口でリスク状況を精緻化することによるデータ・ドリブンなポートフォリオ変革、サービス提供のあり方・保険金支払いなどの業務プロセスをお客さま視点で見直すことによる顧客体験価値の向上、職員のマニュアル・オペレーション業務の極小化を図るべく、品質と生産性を向上させていきます。

また、2024年7月には電気自動車(EV)のリユース・リサイクル関連事業(静脈産業)の活性化にチャレンジする新会社REVortex株式会社(リボルテックス)を設立しました。今後もデジタルを活用した事業創出にも継続して取り組んでいきます。

戦略的パートナーであるPalantir、ABEJA株式会社のデータ統合解析・AI/LLMなどに加え、最先端技術を有する他のパートナーシップの構築により、SOMPOのユニークな強みを活かして新たな価値創造・社会課題解決を実現します。

図:新たな価値創造・社会課題解決の実現
																														業務効率化 新たな顧客価値創造、データドリブン、人材育成・文化醸成
																														↓
																														品質・生産性の向上・新たなサービスの創出、ユニークな事業領域の拡大。
																														SOMPOのユニークな強み
																														戦略的パートナー、デジタルケイパビリティを有する企業とのパートナーシップ、企業生成AI / LLM、その他先端技術

主要取組

国内損害保険事業への貢献

国内損害保険事業では保険金サービスにおいて、AIを活用した損害状況検証・見積もり等のチェックなどに取り組んでいます。また、Palantirの技術を活用して大規模災害発生時の各種オペレーションに必要なデータをあらかじめ整備・統合しており、2024年1月に発生した能登半島地震でも、お客さまへの保険金の早期支払い・災害対応業務の効率化を実現しています。

介護事業への貢献

SOMPOケアの介護施設運営から生まれるさまざまなデータを通じて、介護施設のオペレーションの改善や日々の介護では気づきにくい緩やかに発生する被介護者のバイタルの変化などを速やかに感知し、医療サービス等につなげる仕組みを生み出しました。

介護事業の需要と拡大が進むなか、介護の品質を維持・向上し、持続的に提供できるビジネスモデルに変革するには介護施設運営・介護サービスのさらなる効率化・標準化が求められます。生成AI等の活用により経験の浅い介護スタッフも困難な業務に対応できるようにするなど、サービスの質の向上に挑戦しています。

デジタル事業のユニークネス

写真:PC画面で参加するオートオークションの様子

2020年9月にSOMPOオークスを設立し、オートオークション事業に参入しました。全損車・事故車の適正な売却を実現するプラットフォーム『AUX Board』を構築し運営しています。設立以来順調に成長を続け、自動車販売会社、カーリース会社、他損害保険会社等との提携により、現在は年間約5万台の出品車両を誇ります。

2024年5月、事業基盤の拡大とさらなる成長を目指し、外部資本を取り入れました。新たな経営陣を迎え経営強化を図るとともに、事故車の再利用などを通じ、中古パーツを適正かつ効率的に流通させるリユース関連事業(静脈産業)の業界標準のプラットフォームを目指します。

グループCDOメッセージ

グループCDO
楢󠄀﨑 浩一

データ・デジタル戦略は、SOMPO Digital Lab(日・米(シリコンバレー)・欧州)、SOMPO Light Vortex、SOMPOオークス、Palantir、ABEJAといったグローバルに展開するデジタル部隊でグループを支えています。総勢400名超、エンジニア・データサイエンティストなど多彩なケイパビリティを有するメンバーが、最先端のデジタルテクノロジーを活用・実装することで、グループ全体のDXの実現に向けて全力で取り組んでいます。

具体的実例として、Palantirの技術を活用し、介護分野では施設の各種オペレーションの改善や介護サービスの質の向上、国内損害保険ではアンダーライティング領域や広域災害で活用し収益性の改善や生産性の向上を実現しました。

当社グループが有するデジタルテクノロジーはグループ内のみならず、日本社会に対しても価値を提供しています。

2024年1月に発生した能登半島地震に際しては、損保ジャパンがデジタル技術活用により保険金の早期支払いを実現する一方、Palantirは自治体等と連携して被災者情報の統合を行い、避難所管理・支援物資の適正配布を支援し、被災者・被災地支援を共同で行いました。

このようにデータ・デジタルを通じて自社のみでなく、広く社会に対して価値を提供するように取り組むことがグループCDOとしての想いであり、当社グループの価値向上につながっていくと考えています。

2024年度から開始した中期経営計画においても、SOMPOが目指す「“安心・安全・健康”であふれる未来」を実現するために、データ・デジタルの知見と人材ケイパビリティを活かし、既存事業における業務効率化、収益改善をさらに加速させます。また、AI/LLMなどの大きなビジネスインパクトをもたらす技術についてもグループ全体へ圧倒的なスピード感を持って展開し、導入研修・環境インフラ等の整備を行うことで人とAIが共存してそれぞれの業務最適化を実現し、ビジネス効果の最大化を目指します。

すでに損保ジャパンでは、2024年2月より自社で最適化した生成AIチャットシステムを導入し、システム活用のための研修プログラムを展開しています。

今後も、グループ事業間や他社との連携を通じて、お客さまへの新たなサービスの提供を実現し、グループの事業機会の創出・拡大を支えていきます。