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(2024年8月発行)

グループCROメッセージ 一人ひとりが正しい行動を積み上げる

グループ全体で「お客さま本位の業務運営」に立脚して、
覚悟をもって信頼回復に
取り組んでまいります。

グループCRO

魚谷 宜弘

2つの業務改善命令を受けて

当社グループでは、国内損害保険子会社における保険料調整行為等への対応、また当社および同子会社における自動車保険金不正請求等への対応について、金融庁からそれぞれ業務改善命令を受けました。グループの業務の適正性を確保するための内部統制の枠組みはあったものの、同子会社の重要施策等をモニタリングする態勢や同子会社との情報連携・報告態勢等について、実効性の点で課題がある旨、金融庁等から指摘を受けました。

当社における内部統制は言わばSOMPOのパーパスを体現するための土台です。内部統制を有効に機能させるための情報伝達やモニタリングなどのルール作りはもちろん重要ですが、その実効性において最も重要なものは役職員一人ひとりの価値観とそれにもとづく行動です。今回の事案をふまえ、さまざまな議論を経て「SOMPOの価値観」(行動規範)を新設しました。今後はこれを組織に定着させることが当社にとって極めて重要な課題です。

正しい行動の実践

私たちは日々の業務において、さまざまな場面で判断を行う必要があり、自らが置かれた状況や利害関係のなかで、時として判断に迷う場面に遭遇します。特に当社グループは公共性の高い保険グループとして、倫理的・道徳的に問題がないか、すべてのお客さまにとって公正・公平かなど、より高い目線での判断が求められます。

そのような場合の判断基準として、昨年度までは「インテグリティの追求」を進めていました。インテグリティとは、法令や社内ルールが存在しない場合でも、倫理的に正しい行いは何か、社会の期待に合致しているかを自ら考え、だれが見ても正しい行動を実践するというものです。今年度は、さらにこれを明確化する仕組みとして「SOMPOのYes」を新設しました。

具体的には、判断に迷った場合に、「世の中に堂々と説明できるのか」、「全てのお客さま、取引先に対して公正な対応なのか」、「家族や友人に自信を持って話せるのか」を自問し、これらすべてにYesと言えない場合は、一度立ち止まって再度考えるというものです。

声を拾い上げるための仕組み

正しい行動の実践が基本ですが、万一組織内で不正などの兆候に気づいた場合は、業務上のレポーティングラインを通じて、正確な情報が現場から経営陣に確実に連携されるメカニズムも重要です。一方、本来機能すべきレポーティングラインが目詰まりした場合に備え、内部通報制度を整備していますが、役職員からの認知度や心理的安全性に改善の余地があり、広く活用されているとは必ずしも言えない状況です。

こうした状況をふまえ、現場の声や懸念、相談を幅広く拾い上げられる窓口の新設など、内部通報制度の有効性向上に向けた施策を検討しています。

顧客保護やコンプライアンス違反に対する予兆把握機能を高め、問題の芽を摘み取り、自浄作用が機能する組織を目指します。

グループの信頼回復に向けて

今年度から開始した新中期経営計画では、国内損害保険事業における業務改善計画の着実な実行を通じた「信頼の回復」を最優先事項に位置づけ、グループをあげて企業風土の変革に取り組んでいます。SOMPOグループが社会から必要とされ、信頼される存在であり続けるためには、一人ひとりが強い法令遵守の意識と高い倫理観をもって行動することが重要であり、多くの役職員が行動を積み上げていくことで、はじめて当社グループのカルチャーとして定着します。

その際には、私たち経営陣が先頭に立ってコンプライアンスの意識の浸透に取り組むことが何よりも重要です。グループ全体で「新しい会社を作り上げる」という強い意志を持ち、「法令等遵守」、「お客さま本位の業務運営」および「社会からの視点」に立脚して、覚悟をもって信頼回復に取り組んでまいります。